三鷹革新懇は市内ウオッチングを続けており、第8回目(11月13日)は「最先端をゆく、ものづくり中小企業を訪ねる」として三鷹市経済課の協力を得て実施、火星探査衛星「のぞみ」に搭載された観測機器などを開発・製作している三鷹光器(株)を訪問しました。石油資源の枯渇、二酸化炭素による地球温暖化が人類史的問題となる中で、三鷹光器が開発した「ビームダウン式太陽熱集光装置」が海外の学会誌で紹介されるなど注目されています。三鷹市新川地区にある実験施設に、27人が集まり、社長の中村勝重さんから説明を受けました。
この装置は、太陽を自動で追尾するクローバー型のミラー(楕円鏡と赤道儀式ヘリオスタット)で太陽光を、凹型集光装置を経て受熱部に導き、この熱を使って蒸気エンジンを動かしたり、蓄熱して利用するシステムです。画期的なのは、天体望遠鏡などの製作で培った技術を活かしコンピュータ制御を使わず、ヘリオスタットが簡単な装置で耐久性に優れ安価に製作できることです。実験では、20分ほど焦点を絞り続けることで最高温度906度を観測し、「将来的には、海水から塩を作り出し、水を精製し淡水化したり、触媒に高圧蒸気をかけて水素を取り出したり、高温を使った廃棄物処理、原油に頼らないビニールハウスの温水暖房等々、さまざまな応用が考えられる」(robotニュース)と言われています。
「石油資源が枯渇すると買い溜めする国が現れ、戦争になる危険がある。地球環境を守るためにも太陽エネルギーの実用化が急がれる」との中村社長の説明には、説得力とロマンがありました。